タックスヘイブンが世界経済に及ぼしている影響(問題?)をわかりやすく説明する

タックスヘイブンが世界経済に及ぼしている影響(問題?)をわかりやすく説明する

こんにちは!タックスヘイブン特集第二弾です!

今回はタックスヘイブンが世界経済にどれほど大きな影響を及ぼしているのかという点について説明していきたいと思います。

 

世界の融資残高に占める割合

1994年にIMFは対外融資の半分以上がタックスヘイブン並びにオフショア法域を経由して行われていると発表し、世界を驚愕させました。

なぜ、1994年まで把握できにくかったのは、タックスヘイブンを利用する企業や個人はたとえ法律を全く犯していなくても、租税回避の目的でタックスヘイブンやオフショアに登記していることにより世間からの批判をさける為に、匿名性を保ちたいと考える為です。

また前回の記事でも述べましたようにタックスヘイブン自体もこれらの人たちのニーズに合わせて、秘密保持を行い個人に関する情報を行わない為に、実態の把握が難しかったのです。

 

→ 税率が低いだけじゃない?タックスヘイブンの税制・仕組みをわかりやすく解説(低税率又は無税、秘密保持条項)

 

それをIMFがタックスヘイブンの年次報告書や国際機関の分析、各国の国税当局のデータ等を元に算出した結果が、上記の結果となります。

因みにオフショアとタックスヘイブンについては言葉は違いますが、明確な定義の違いはなく、ほぼ同じものと考えて頂ければと思います。

 

外国直接投資に占める割合

まず外国への直接投資ですが、以前は工場・従業員・事務所等を含む外国の土地で実体をもった施設を建てて事業を実際に行うことを意味していました。

然し、1970年代中盤以降はOECD(経済協力開発機構)は、「外国人投資家が、当該国の10%以上の普通株式あるいは議決権を保有していること」と定義しています。

証券投資との境があいまいな感じがしますね。

タックスヘイブンを通した直接投資の割合は30%以上に上ります。

これは明らかに税制上の理由からです。

 

直接投資にタックスヘイブンが利用されている例①

実際米経済分析局の報告によるとグローバルにビジネスを展開している米国企業の59%がタックスヘイブン諸国に関連会社を保有しており、この関連会社を通じて国外への直接投資を行っていることが読み取れます。

実際、2004年にブッシュ大統領が外国で得た利益をアメリカに戻す場合、普段の法人税率である32.5%ではなく5.25%を適用する法案を通しました。

その際に米国の対外赤字の40%に相当する3100億ドルを本国に送金されたことからも如何にタックスヘイブンで利益を蓄積していたかが明らかになりました。

直接投資にタックスヘイブンが利用されている国の例②

2007年の中国の新たなベンチャー企業への投資額は、香港、バージン諸島、日本、韓国、シンガポール、アメリカ、ケイマン諸島の順で、タックスヘイブンは全体の86%に上りました。

直接投資にタックスヘイブンが利用されている例③

香港やバージン諸島から中国への直接投資は租税回避を目的とした中国人自身のマネーであり、中国人がタックスヘイブンを通じて自国内に投資を行っているにすぎません。

事業体のタックスヘイブン税制利用状況とその仕組み

では実際どれくらいの企業がタックスヘイブンを利用しているのでしょうか。

ヴァージン諸島は2007年の時点で80万社、香港50万社、パナマ37万社、バハマ12万社の順で合計でで優に200万社を超える企業がタックスヘイブンを利用しています。

恐ろしい量ですね。最早、グローバル企業の殆どがタックスヘイブンを利用しているといっても過言ではないレベルだと思われます。

またこのブログでもおすすめしているヘッジファンドのタックスヘイブンで運用されている資産総額は1.5兆ドル (160兆円)にも上っており、

ケイマン諸島、バミューダ諸島、ヴァージン諸島、バハマ諸島に世界のヘッジファンドの52%が籍を置かれているという報告も出ております。

 

タックスヘイブン全体でいうと、70%は超えていることでしょう。

当然税金を毎年とられた場合と、最後に一括で支払う場合では複利効果に大きな効果の差が出てくるので、ヘッジファンドとしてはタックスヘイブンを利用するのが合理的な手段となります。以下例を用いて説明します。

 

例えば1000万円をヘッジファンドに預け入れ毎年20%の利回りを出すとします。

このファンドが税率0%のタックスヘイブンで運用を行い最後に本国に引き戻す際に35%の税金を支払う場合と、毎年20%の税金を支払った場合の20年後の最終的な資産総額は以下のようになります。

 

タックスヘイブン 自国運用(毎年税率20%)
1 2,000,000 1,600,000
2 2,400,000 1,856,000
3 2,880,000 2,152,960
4 3,456,000 2,497,434
5 4,147,200 2,897,023
6 4,976,640 3,360,547
7 5,971,968 3,898,234
8 7,166,362 4,521,952
9 8,599,634 5,245,464
10 10,319,561 6,084,738
11 12,383,473 7,058,296
12 14,860,167 8,187,624
13 17,832,201 9,497,643
14 21,398,641 11,017,266
15 25,678,369 12,780,029
16 30,814,043 14,824,833
17 36,976,852 17,196,807
18 44,372,222 19,948,296
19 53,246,667 23,140,023
20 41,532,400 26,842,427

 

租税回避の金額

当然前回の記事でも書きました通り、タックスヘイブンは秘密保持を大きな売りにしているので、いくらの口座が底に眠っているかを正確に把握することは出来ません。

その為、いくつかの概算を行う必要があります。

個人資産からの税回避額

イギリス税研究所の代表であるマーフィー氏が行った調査によると、富裕層の全資産額は38兆ドルに上り、そのうち11兆ドルがタックスヘイブンにあると推計しています。

これは有名なコンサルティング会社であるマッキンゼーやBCGの推計値とも近い数値であり、ある程度信ぴょう性は高い数値であるといえます。

そして、この11兆ドルに対して、投資家の平均的な利益率7.5%をかけ、平均税率を30%と見積もると約2500億ドル (約26兆円)となります。

多国籍企業からの税回避額

これは推計が不可能となっています。米国、英国などの国税局もこの推計を諦めています。

これは企業がタックスヘイブンでの活動を隠した状態の連結決算を公表できる為で、タックスヘイブンで行っている取引や、そこで発生した利益を計算することが出来なくなっている為です。

 

法人税の減額からみる税回避額

OECD諸国において実効平均税率は1981年の40%から2008年には28%にまで落ち込んでいます。

この要因としては、タックスヘイブンに対抗する為、先進諸国も税率を引き下げてきたことと、企業がタックスヘイブンで利益を計上することにより全体の利益に対して納めている税金額が少なくなっていることが要因です。

 

米国の議会予算局によると1970年には法人税が全歳入の17%を占めていたにも関わらず、2004年時点では歳入の9.6%を占めるに留まる水準まで下落しています。

米国税庁の推計によると、米国における租税回避の年間金額は予定税収の16%である3300億ドル、つまり36兆円にも上るとされています。

 

また英国の監査当局は大手企業の30%が税金を支払っていないと発表をしており、英国の年間租税回避により徴収しそこなっている金額は予定税収の16.6%である約1000億ポンド、つまり15兆円に上るともいわれています。

 

まとめ

いかがでしょうか、如何に多くの融資や直接投資がタックスヘイブンを経由して行われ、如何に多くの富裕層や企業がタックスヘイブンを利用して租税回避を行っているかが分かったと思います。

それだけ、グローバル化とタックスヘイブンは切っても切り離せないものとなっていることが理解いただけたと思います。

 

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