こんにちは!ワタルです!
ロシアの続きを見ていきたいと思います。
前々回ロシア成立までの歴史と前回ロシアが人口も減少に傾きだしエネルギー偏重型の経済であることが分かりました。
今回は国際収支並びに財政収支、そして政治の状況をみて最終的にロシア株式投資が魅力的なのかという点を総括していきたいと思います。
ロシアの国際収支
国際収支は経常収支に直接投資と証券投資からなる金融収支を足し合わせたものです。
その国が海外から年間いくらお金を引っ張ってこれたのか?
または海外に流失したのか?
ということを測ることが出来ます。
まずロシアの経常収支からみてみましょう。

原油価格が下がったといっても、依然として、輸出国として外貨を稼いでいることにはかわりなく経常収支はプラス圏を維持しています。
次に金融収支です。
金融収支は外国の企業が、その国の中に工場などの生産設備を作ったり、
実体をもった投資を行うことです。
以下の図をご覧ください。
【直接投資】

証券投資はロシアの株式や債券を外国人が取得することを指します。
当然、証券投資がプラスということは株を外人が買っているということの証左ですね。
【証券投資】

証券投資は小幅のマイナスですが、直接投資が基本的には上回っていることからロシアは海外から外貨を獲得している国であることが分かります。
海外からどんどんお金が入り込んでいることが分かります。
また国際収支がプラスであるということで、仮に株式投資を行う場合は為替ヘッジをする必要がないことも分かります。
新興国株式投資に為替ヘッジが必要なのかを解説!新興国投資における、おすすめのリスク管理指針をわかりやすく解説する。
ロシアの財政
次に財政収支を見ていきましょう。なぜ財政をみるかというと、財政が悪化しデフォルトが意識されると、その国から資金が引き上げられ結果として株式市場も下落をしていく為です。
以下はロシアの財政です。

現状はコロナ禍にあり、経済の悪化に対して補助金供与など経済対策を打っています(これはどこの国も同様ですね)
変湯安による石油ガス収入は減少。2020年に引き続き、2023年まで赤字に転落する見通しとなっています。
ロシア政府としては現状、2021年以降の歳出を前年比5%削減を予定していましたが、今後のワクチン普及速度次第ですので、ロシア政府の声明は日々ウォッチしておく必要があります。
また外国人のロシア国債保有比率は以下のように2019年以降、上昇傾向となっていることには注意が必要です。ブラジルの20%と比較して高い水準になっていますね。

日本は非居住者の保有比率が5%と程度なので、日本の家計資産が負債を上回っている限り日本国民によって国債が売り込まれ、債券利率が高まり返済不能になることはありません。
お上の力で日本国債を保有している金融機関に、
わかってるよな。
と圧力がかかり国債を売らせませんし、日本人はそもそも愛国心が低いので自国を崩壊に導くような国債売りを行わないでしょう。
その結果金利が低く抑えることができます。
然し、外国人保有比率が大きくなると原油価格の崩壊が発生し、愈々ロシアの財政がまずいと外国人投資家が判断すれば、外国人によりロシア国債が売り込まれ金利上昇を伴い財政が一段と悪化。
財政破綻に向かっていきます。
ロシアの政治と地政学的リスク
次にロシアの政治についてみていきたいと思いますが、プーチン大統領の支持率は14年3月のクリミア併合後、猛烈な支持を獲得し80%以上の支持率を維持しています。
驚異的ですね。
というかプーチンはいったいどれほど長く大統領を務めているかというと、2000年にエリツィン大統領の後任として第二代ロシア連邦大統領に就任し2008年まで二期にわたって大統領を歴任。
その後、メドベージェフ大統領字には首相として活躍し、2012年から現在までまた大統領を務めるという超長期政権を築いています。
2000年からの第一期政権時にはGDPを6倍にするなどの手腕が認められています。
今年大統領選が行われ当選されたら2024年まで大統領を歴任することが予定されており、政治的な安定さは世界トップレベルといって過言ではないでしょう。
次に地政学的リスクですが、ロシアの地政学リスクとしてウクライナ問題が挙げられます、これが要因で欧米から経済制裁を食らっていますね。
ウクライナ問題とはウクライナの中で親ロシア派やロシア人が多い東側の地方であるクリミナをロシアが軍事介入をして切り取ってしまったのです。
これによって欧米は激怒、以下の経済制裁を科しました。
・ロシア要人の入国禁止
・ロシア要人の在外資産の凍結
・ロシア大手銀行への融資禁止
・ロシアへのエネルギー関連技術供与の禁止
と企業にも制裁を及ぼすと内容になっています。現状まだ経済制裁解除の見通しはたっていません。
ロシアの株式市場
ロシア株のPERは8倍という割安な水準になっています。エネルギー価格が上昇せず、経済制裁の解除の見通しがたっていないことが、割安な水準で放置されているのでしょう。
PERって何?って方は以下私の過去記事を参考にしてみて下さい。
然しいくらPERが高いとしても、前回みてきたようにロシアは東南アジアのように成長力が今後高いわけでもないので、特別魅力的な水準ということはできないと思います。
PERが全てではなく、よりマクロな視点が求められますので、情報収集は余念のないよう実施しましょう。
ロシアの投資信託・ETF・ファンド
ロシア株を個別で購入するのは情報を取るのも大変ですし、やはり個別株はリスクが伴います。こんな時は投資信託(ETF)も選択肢です。
例えば、代表的なものであればロシア株式市場の全体を購入できる、
なんかがあります。これが王道ですね。

一番人気は
RSX(VanEck Vectors Russia ETF)
です。
流動性が高く、収益性の高い大型株28銘柄で構成されています。
本当におすすめな新興国株市場
確かにロシアの株式市場は数値上は割安ですが、成長力自体が高くありません。
新興国の中にはロシアより更に割安で、尚且つ成長力が非常に高い国があります。それは私が今年特に一押ししているイランです。
イランのPERは時価総額が高い企業ですら4倍~7倍で、配当利回りが20%という高い配当性向を持つ企業も多いです。
更にロシアと異なり制裁は解除され、成長率は世界屈指の10%程度を維持しており、今後どんどん成長していくことが見込まれる市場になっています。