こんにちは!ASEAN特集第五弾ですね。
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ASEANは10カ国存在しており、当サイトでも以下の通り分析をしてきています。
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今回は成長国として名高いフィリピンについ現在の成長並びに、今後の見通しと懸念点更に株式市場がどうなっているのかを見ていきたいと思います。
Contents
フィリピンの概要
まだ私もフィリピンにいったことないですが、フィリピンの首都がマニラで、セブというリゾート地があり、ドゥテルテという強権の人が大統領をしているというイメージがあります。
私が総合商社で為替部門で働いている時も、たまにフィリピンペソを調達する案件もあったので、日本からもそれなりにビジネスがあるのでしょう。

【人口】
1億100万人 (意外に多いなと驚きました)
【面積】
30万km2 (日本の8割。ということは人口密度高いですね)
【民族】
マレー系が主体
【言語】
フィリピノ語又は英語
【宗教】
9割型がキリスト教(これすごい意外ですよね!?)
【一人あたりGDP】3,000USD
中所得国の罠である10,000USDまでほど遠いので労働集約型産業で成長は可能でしょう。
【直近成長率】6.8%
新興国の中でも高い数値ですね。後で詳しく見ていきます
【直近インフレ率】1.4%
徐々に低下していき、直近1.4%です。国内の需要が弱いのか気になりますが、金融政策上は緩和方向の政策が取られやすい水準です。
私個人の印象としては予想以上に貧しく予想以上に成長しているなといった感じです。他のアジア諸国と相対的に比較した図が以下となります。

1人あたりのGDPでみるとベトナムとインドネシアの間くらいのレベルです。それでは、この経済成長が過去からどう推移してきたのか今後どうなっていくのかを紐解いていきます。
フィリピンの経済成長の推移
上で記載した成長率が一過性のものであれば、参考にならないので過去からの推移を見てみましょう。

如何でしょうか、リーマンショックで落ち込む局面もありましたが、その後は安定して6%~7%の水準で推移していますね。比較的安定して成長していっているといえるでしょう。
絵画からの出稼ぎ送金や国内コールセンター業務の拡大、治安改善による海外からの投資の増加が成長をけん引しています。
この出稼ぎ送金がばかにならない金額で、人口の1割が海外で暮らし送金額はGDPの1割に上ります。確かに日本でもフィリピンからの出稼ぎの人よく見ますよね。
2020年のコロナショックは新興国経済にも大きな影響を与えており、マレーシアの経済成長率も▲9%程度となることが予測されています。
財務省や国家経済開発庁、予算管理省などで構成するフィリピン開発予算調整委員会(DBCC)は12月3日、2020年の実質GDPの成長率予測をマイナス5.5%からマイナス8.5%~マイナス9.5%に下方修正した
<<中略>>
同委員会は、経済活動制限が緩和されることで今後は経済が回復し、2021年の成長率は6.5%~7.5%に、2022年の成長率は8%~10%になると予測している。
参照:JETRO
ただ、2021年以降は経済成長は反動増で大きく上昇することが見込まれています。コロナショックは一時的な要因であったと捉えた方がよいでしょう。
フィリピンの理想的な人口ピラミッド
人口ボーナスが継続するのかどうか、つまり人口は増えて、労働人口は増加していくのかというのが、成長の第一要件になります。以下はフィリピンの人口ピラミッドになります。

正直いままで見てきた各新興国のピラミッドの中で最も美しいですね。否の付け所がなく、今後人口並びに労働人口の増加を伴いどんどん成長していくことが予測されます。
教育については最低限の識字率は96%と問題ない水準ですが、依然として所得が低いため高等教育まで進める児童は少ない模様です。
これが、中所得国の罠を超えようとする国でしたら問題ですが、まだ一人当たりGDPは3,000USDと非常に低く、労働集約的な工業で発展可能なレベルなので識字率と最低限の計算が出来れば問題ないでしょう。
私の祖父の時代は中学までで精一杯という家が多く、高卒ばかりでしたからね。ただその後の日本の急速な発展を考えると、この段階では基礎数学と識字率程度で問題ないでしょう。
バランスのよい産業構造
それではフィリピンの産業構造はどのよになっているのでしょうか。以下は各産業のGDP構成比です。

バランスのよい産業構造だと思います。サービス業中心の良い経済ですね。因みに日本の外務省によると、フィリピンの貿易構造は以下のようになっています。
【輸出】半導体、輸送用機器等
【輸入】中間財、通信機器、電子機器、燃料
つまり外資企業が人件費の安いフィリピンで原料を輸入して、組み立てて最終製品を作って輸出しているという構造ですね。タイと似ていますね。
それでは貿易先を見ていきましょう。


正直驚きました、他のASEAN諸国が中国並びにASEAN諸国に過度に偏重しているにも関わらず、フィリピンは日本と米国といった西側諸国を重視し、バランスの取れた貿易相手構造だと思います。
世界経済に均等に関わりを持ちながら経済を成長させているバランスの良い新興国ということができるでしょう。
バランスの良い成長構造
経済成長が政府の投資や民間の投資に依存した中国のような成長構造ですと、いつか供給過剰、過剰債務問題などのがたがきます。
理想的な成長は内需の拡大によって齎されます。経済成長の寄与をGDPの五大要素並びの産業毎で分解したものをご覧ください。

中国のように投資主導の成長だと、いつか過剰生産能力を抱え込む可能性があります。
然し、フィリピンはまだまだ成長段階であるにも関わらず、投資先行ではなく確りと内需の拡大を伴った健全な成長を行っていることが分かりますね。
安定した政治環境
今まで経済についてみる限り特に死角は見当たりませんが、タイのように政治が混乱すると経済に影をおとします。
日本人のイメージとしてドトルテ大統領は横柄で信用にたる人物なのかというイメージを想起させますが、フィリピンに政治はどのような状況になっているでしょうか。
フィリピンは治安が非常に悪かったのですが、前大統領であるアキノ大統領が治安を改善させて、海外からの投資を呼び込むことに成功しています。
後をついだドトルテ大統領は治安が悪かったミンダナオ島ダバオ市の治安を大幅に改善させた市長としての手腕をかわれ2016年から大統領に就任しています。
この治安改善の流れを加速させ海外からの投資を呼び込むと共にインフラ投資の促進を継続していくことにより更なる発展が見込めるでしょう。
フィリピンの株式市場ー指数チャートの形状と見通しー
正直ここまで書いてきてASEANで投資をするならフィリピンが一番有望だと考えています。では株式市場自体はどうなってるんでしょうか、以下現在までの5年間のフィリピン総合指数をご覧ください。

経済成長の度合いに対していうと、伸びが緩いという印象をうけます。新興国の全体の値動きを表すETFである「VWO」と比較した図は以下となります。

株式というのは国民の生活レベルに余裕が出てくる1人あたりGDPが5000~8000USDの時に上昇する特徴があります。
まだ現在はフィリピンはその水準ではないため、実需に基づく不動産の伸びが大きかったのです。(現在不動産ブームは終盤を迎えていますが)
日本も不動産価格が1960年代に上昇し、株価が本格的に上昇したのは1980年代と時差があるので、フィリピンはまだ本格的に株価が上昇する時期ではないということですね。
今からまさに株価が上昇する水準にある新興国に投資できるファンドについてランキング形式でお伝えしてますので参考にしていただければと思います。

フィリピンのおすすめ個別銘柄-割高で低い配当利回り-
先程は指数についてみてきましたが、個別銘柄につしてみていきましょう。2020年は殆どの銘柄で業績が落ち込みましたが比較的軽傷で済んだのが時価総額4位のサンミゲル・フード・アンド・ビバレッジです。
サンミゲルは食品産業を手がける企業で消費が拡大するフィリピンにおいては間違いなく成長していく企業であるということができるでしょう。

2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | |
売上高 | 111,585.56 | 251,589.00 | 286,378.00 | 310,785.00 | 279,290.00 |
営業利益 | 8,565.06 | 39,861.00 | 43,361.00 | 46,107.00 | 31,788.00 |
純利益 | 5,975.60 | 28,226.00 | 30,533.00 | 32,279.00 | 22,401.00 |
株価は以下の通り一旦凹みましたが底固めを行い、ここから株価が上昇をする形状となってきています。2020年の純利益が凹んだ状態でPERは30倍ですが、元の成長軌道を取り戻したら潜在的なPERは15倍程度で割高というレベルではありません。

今後が期待できる銘柄といっても過言ではないでしょう。
フィリピン株の買い方ーSBIでも購入できない個別銘柄を購入できる証券会社とは?ー
指数に連動するETFや投資信託については野村證券や楽天証券やSBI証券のネット証券でも手軽に購入することが出来ますが。
個別銘柄に関しては新興国株に強みのあるSBI証券でも取り扱いがなく、取引できるのはアイザワ証券のみとなります。
まだまだ本格的に日本の証券会社も進出できていないわけです。
新興国市場への株式投資で成功する為には
今回みてきたフィリピンは、政治、経済と死角が少なく、間違いなくアジアで最も成長力が高い国となっています。
しかし、まだ株式市場に投資する環境が整えられておらず外国からの資金もあまり流入するという状況にはなっていません。実際、日本でもアイザワ証券経由でないとフィリピン株に投資することはできません。
新興国で大きなリターンを得るためには以下の条件を満たす国に投資する必要があります。
✔︎ 高い経済成長率を誇っている
✔︎海外から資金が入ってくる環境が整えられている
✔︎株価がまさに上昇する経済水準
✔︎現在株価が割安な水準
上記の条件をみたしているかという観点から以下でおすすめできる国とファンドをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
