1000万円近いまとまったお金ができたら投資について考え始める人も多いのではないでしょうか?
筆者の元同僚でも多かったのですが、まずはFXに手を出す人が多いのです。しかし、元々為替トレーダーとして為替取引の難しさを知っている筆者からするとFXは初心者には決しておすすめできません。
本日は元為替トレーダー目線でFXの危険性と皆さんの誤解を解いた上で、まとまったお金を運用するのにおすすめの投資先についてお伝えしていきたいと思います。
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そもそもFXは「投資」ではなくて「投機」
投資というのは理論的に資産が増えていく手法です。
株式投資の場合は、以下の通り株価指数が右肩上がりであることから分かる通り、パイ自体が拡大し続けています。

しかし、FXはどうでしょう?
例えばドル円が現在105円とするとレートが下落するか上昇する確率は50%ずつです。つまり儲かる人と損をする人が同じ比率で存在しているのです。
FX業者に支払う手数料を加味すると、ギャンブルと何も変わりませんね。カジノでポーカーをやっているのと本質的には同じなのです。
FX投資家は損失を抱えている割合が高い
実はあまり知られていませんがFX投資家は過半数の人が負けています。
日本のFX会社はデータを出していませんが、海外のFX業者は損失を抱えている顧客の比率を公表しています。そのデータが以下となります。

8割近くの投資家が負けていることが見て取れますね。ゼロサムゲームの世界なので、FX投資家が負けている分は「誰か」が勝っていることになります。
為替取引には有利な人たちと不利な人たちがきっぱりと分かります。その明暗を分けるのが情報と動かせる金額の量です。
これは仕事として為替トレーダーを行なっていたので身をもって実感しました。要は手札をしっていたり、掛け金が非常に大きいポーカープレイヤーがいるのです。
次項以降で詳しく見ていきましょう。
有利なプレーヤー①:情報が集まる銀行のトレーダー
筆者を含め企業で為替取引を行う際には銀行に執行を依頼していました。
FXを行なっている人も、FXで預かった取引は最終的に銀行につないで取引を裏側で行なっています。
つまり、為替の注文は基本的には全て銀行に集められるのです。
中にはトヨタやソニーなどの大企業が巨大なロットで指値を入れているという情報も入りますし、ヘッジファンドや年金基金などの機関投資家の動きも手にとるように分かるのです。
銀行の内部にいるトレーダーはそれらの情報を用いて取引をすることができるので当然優位に為替トレードをすすめることができます。
例えば、現在の為替レートが105円20銭だとします。しかし、105円に大きな買い指し値が入っているという情報を得ていたとします。
すると、為替トレーダーは現状でドル円を買って、損切りを104円99銭に仕込むことで損失をミニマイズしながら、高いリターンを狙うことができるのです。

また、今大口の実需企業又は機関投資家が断続的に買い上げていたり、断続的に売っていることがわかれば流れについていくこともできます。
為替取引において情報は命です。情報が集積する銀行のトレーダーが有利ということは、ゼロサムゲームの為替取引では情報を獲得できないFX投資家は不利ということの裏返しでもあるのです。
有利なプレーヤー②:相場を動かすことができる機関投資家
銀行のトレーダーとは別に有利なプレイヤーが存在しています。
為替市場といえども一時的に大きな資金力を持っている主体が一気に仕掛ければ相場を操ることができます。
年金基金や保険会社やヘッジファンドといった機関投資家が大規模な取引を行えば、トレンドを短期的に発生することができます。いきなり数百億円から千億円規模の取引ができれば当然相場を動かすことはできますからね。
また、大口がドル円を買い上げているという情報は、銀行のトレーダーにも伝わるので彼らも追随して大きな流れを作ることができるのです。
FX投資家が後からトレンドについていったところで、彼らは利益確定を行いFX投資家が煮え湯をのまされるということは頻繁に発生しているのです。
相場の巨人はゲームを有利に進めることができる資金力というカードを持っているのです。
スワップポイントに騙されるな
中には為替レートは上がるか下がるかは50%だけどもスワップポイントを得ることができるからゼロサムゲームではないと考える人も多いかと思います。
確かに人気の南アフリカランドやトルコリラでは高いスワップポイントが得られるのでFX投資家に人気を果たしています。
しかし、ZARJPYやTRYJPYに大金を投じて大損をした人や、破産した人を筆者の周りだけでも何人もしっています。決して安易に手をだしてはいけない通貨だと言えます。(理由は後述)
実際以下の通り両通貨ペアのレートは下落の一途をたどっています。
【ZARJPY】

【TRYJPY】

高スワップポイント通貨のレートが下落する理由
たまたまZARJPYやTRYJPYが下落しているのではないかと考える人もいらっしゃいますが偶然ではありません。
金利が高い通貨というのはインフレ率が高い国の通貨ということなのです。新興国はインフレが加速している国があり、中央銀行は金利を引き上げてインフレを沈静化しているのです。
新興国では人口が上がり、給与も上がるので購買力が上昇してモノの価格が上昇するのです。中央銀行は金利を上げて、景気をさませてインフレが一定範囲に収まるように調整するという政策をとっているのです。
そして、インフレが進行している国の通貨は、日本のようにデフレが進行している国の通貨に比して為替レートが理論的に下落するのです。わかりやすい例を用いて説明しましょう。
現在、リンゴが日本で100円、トルコで7トルコリラで販売されていたとします。日本でもトルコでもリンゴはリンゴなので100円=7トルコリラとなります。わかりやすく言い換える1トルコリラ=14.28円となるのです。
1年後、リンゴは日本では100円のままですが、トルコではインフレが進み8トルコリラとなるとします。すると、1トルコリラは12.5円までレートが下落するのです。

つまり、
スワップポイントが高い→金利が高い→為替レートは下落する
という流れを踏むことになるのです。
特に新興国通貨は急激に下落することがあるので、追証となって資金を大きく失ってしまう結果になるのです。頻繁に急落するので定期的に破産者を出す悪魔の通貨ペアです。
スワップレートだけを頼みとして取引するのは辞めておきましょう。
まとまった1000万円以上の資金のおすすめ投資先
まとまった資金ができたのであれば、安全に投資をして5%-10%のリターンを狙うことで十分に資産を増やすことができます。
以下が1000万円を年率5%と10%で運用した場合の資産推移です。
5% 運用 | 10%運用 | |
1年後 | 1050 | 1100 |
2年後 | 1102.5 | 1210 |
3年後 | 1157.63 | 1331 |
4年後 | 1215.51 | 1464.1 |
5年後 | 1276.28 | 1610.51 |
6年後 | 1340.1 | 1771.56 |
7年後 | 1407.1 | 1948.72 |
8年後 | 1477.46 | 2143.59 |
9年後 | 1551.33 | 2357.95 |
10年後 | 1628.89 | 2593.74 |
筆者はサラリーマン時代からヘッジファンドで運用を行い一度も下落することなく、年率10%程度で運用をできています。
筆者が投資を行なっているファンドについては以下で詳しく纏めていますので参考にしていただければと思います。