SBI Asset Managementが運用する投資信託にジェイネクストがあります。正式名称は「SBI中小型成長株ファンド」といいます。
名前からわかる通り「ジェイリバイブ 」の兄弟ファンドです。
→【ジェイリバイブ 】SBI中小型割安株ファンドを徹底評価!評判のジェイリバイブ 2(=jrevive II)との違いを含めてわかりやすく解説する。
本日はジェイネクストについて投資妙味があるのか?
という点を特徴や実績を見た上でみていきたいと思います。
Contents
SBI中小型成長株ファンド(=ジェイネクスト)の特徴
ジェイネクストの投資対象は目論見書で以下と説明されています。

主にわが国の金融商品取引市場に上場する中小型株式に投資し、 信託財産の中長期的な成長をめざして積極的な運用を行います。マザーファンド受益証券への投資を通じて、現時点では何らかの理由(課題・困難)により割安な株価ではあるものの、将来への成長機会を持つ(=企業家精神溢れる)、 革新的な高成長が期待される企業の株式に厳選投資します。
参照:目論見書
注目すべき点は二つですね。
- 中小型株に投資をしている
- 割安で成長が期待できる銘柄に投資
ジェイリバイブの投資対象との比較は以下となります。

ジェイリバイブの方が割安ですが、成長率はジェイネクストの方が高いという違いがあります。より、ジェイネクストの方が成長企業に寄せて投資していることになります。
コラム:小型株効果とは?
一般的に大型株に投資をするより小型株に投資をした方が高いリターンを見込めるとされています。
株式の時価総額が小さい小型株は、大きい大型株よりも収益率が相対的に高くなりやすい傾向にあること。理論的に説明できない相場のアノマリー(経験則)の一種。小型株は市場での注目度が低いため割安に放置されやすく、また今後の利益成長が期待できる株として収益が得られやすいとされている。
参照:野村證券
ただ、小型株は値動きが激しいので大きな損失を被る可能性もあります。筆者が投資しているファンドは小型株に投資しながらも圧倒的に割安度が高い銘柄に投資してリスクをおさえながら高いリターンを出し続けています。
以下で取り上げていますので参考にしていただければとも思います。
ハイテク産業の比率が高い
成長企業を多く組み入れているので「情報・通信業」、「精密機器」、「電気機器」が多く組み入れられています。

業種 | 組入比率 |
サービス業 | 28.9% |
情報・通信業 | 16.4% |
精密機器 | 10.7% |
その他製品 | 8.2% |
電気機器 | 7.7% |
化学 | 6.2% |
機械 | 5.5% |
その他 | 13.5% |
現金等 | 2.9% |
ジェイネクストの構成上位10銘柄
ジェイネクストは全部で54銘柄を組み入れています。ひふみ投信が200銘柄を超えていることを考えると、だいぶ銘柄は絞っていますね。以下は2021年7月時点の構成上位銘柄です。
銘柄 | 業種 | 構成比率 |
スノーピーク | その他製品 | 3.2% |
シグマクシス | サービス業 | 3.1% |
エスプール | サービス業 | 3.1% |
レーザーテック | 電気機器 | 3.0% |
日本エム・ディ・エム | 精密機器 | 3.0% |
メンバーズ | サービス業 | 3.0% |
エニグモ | 情報・通信業 | 2.9% |
朝日インテック | 精密機器 | 2.9% |
トランザクション | その他製品 | 2.9% |
NITTOKU | 機械 | 2.8% |
上記見ていただければわかる通り、特定の銘柄に偏って投資しているわけではないことがわかります。また、中小型株に投資していると謳っているだけあって、皆さんが知っている銘柄は上記にはないのではないでしょうか。
例えば、構成トップのスノーピークがどのような企業かみていきましょう。
スノーピークは、日本の新潟県三条市に本社を置くアウトドア総合メーカーおよびそのブランド名である。世界に先駆け、「オートキャンプ」のスタイルを生んだ会社として知られる。近年はキャンピングオフィス事業、複合型リゾート事業、ワーケーションの推進などに力を入れている。
参照:Wikipedia
定量的なデータは以下となります。PERが83倍というのは割安とはいえない非常に割高な水準です。
確かに営業利益や純利益の成長率が高いのは成長企業としては素晴らしいのですが、売上の伸びが低いのが懸念されます。
役員保有比率 | 16.81% |
PER | 83.66倍 |
PBR | 8.39倍 |
売上高前年比 | 1.18% |
営業利益前年比 | 61.59% |
純利益前年比 | 94.40% |
スノーピークの株価推移は以下の通りとなります。上下動を繰り返しながらも株価が大きく上昇してきています。

ジェイネクストの運用実績の推移
では重要なジェイネクストの運用実績についてみていきましょう。

リーマンショックと東日本大震災で大きく沈んだ後は、アベノミクスの影響もあり大きく上昇しています。2018年からコロナショックにかけて大きく下落する局面もありましたが、コロナ相場の後押しを受けて基準価格が大きく上昇して絶好調となっています。
2016年までは日経平均に劣後する成績でしたが、それ以降は素晴らしい成績をのこしています。
青:ジェイネクスト
赤:日経平均株価

しかし、やはり価格の値動きの幅は大きく、20%-30%の価格の下落は常に警戒する必要があります。
ジェイリバイブ と比較
ジェイリバイブが運用開始となった2006年からのリターンは以下となっています。
青:ジェイネクスト
赤:ジェイリバイブ

ジェイリバイブ の方が高いリターンとなっていますが、過去3年でみると景色が変わってきます。以下は過去3年の比較です。
青:ジェイネクスト
赤:ジェイリバイブ

ジェイリバイブは高いリターンをだしたことで人気が殺到して、従来の運用ができずにリターンが低下しています。これは「ひふみ投信」でも同様の事態となっています。
→ 評判を集めるが近年相次ぐ暴落を経験し成績不調に喘いだ「ひふみ投信」を徹底評価!「ひふみプラス」との違いや手数料形態含めて紐解く。
ジェイネクストも直近のリターンで純資産が増えており、なおかつハイテク銘柄のバリュエーションが高くなっており今後の見通しは必ずしも明るいとはいえません。
まとめ
ジェイネクストはジェイリバイブより成長力が高いものの、割安度は低い銘柄を投資対象としています。
直近のリターンは高いですが、それはコロナショックからのハイテク銘柄のバブル状態となったことが影響しています。つまり、追い風参考記録といってもよい程、ジェイネクストが投資しているハイテク企業にとって素晴らしい環境が整っていたのです。
今後、今までと同様に堅調な成績が続くかは懐疑的に見た方がよいでしょう。ハイテク銘柄はボラティリティが高いので下落し始めると20%-30%は簡単に落ちます。安全に資産を構築していきたいという方は別の方法を考えた方がよいでしょう。
以下では筆者の観点で安全に且つ着実に資産を積み上げていくのに適した投資先をお伝えしていますので参考にしていただければと思います。