日本には数々の投資信託が存在しています。中でも有名な投資信託は「ひふみ投信」と「ジェイリバイブ」ではないでしょうか。両ファンドは高い成績を出しているファンドとして投資家から注目を集めています。
ひふみ投信については以前、当サイトでも取り上げています。
→ 評判を集めるが近年相次ぐ暴落を経験し成績不調に喘いだ「ひふみ投信」を徹底評価!「ひふみプラス」との違いや手数料形態含めて紐解く。
「ひふみ投信」は過去高いリターンをだしていましたが、近年は運用規模が大きくなりすぎて大型株に分散させすぎて日経平均と同等又はそれ以下のリターンとなっているということをお伝えしました。
では、もう一つの雄であるジェイリバイブはどうでしょうか?
本日はジェイリバイブと兄弟ファンドであるジェイリバイブ2についてお伝えしていきたいと思います。
Contents
SBI中小型割安株ファンド(=ジェイリバイブ)の特徴
では、まずジェイリバイブの特徴についてみていきたいと思います。
日本の中小型の割安株に投資
ジェイリバイブの正式名称はSBI中小型割安株ファンドです。名前の通り、日本の中小型株の中で割安な銘柄に投資をすることを投資哲学としています。
わかりやすく図にしたものが以下となります。

EPSとは1株あたりの純利益です。株価は簡易的には以下で表されます。
株価 = EPS ✖️ PER
PERとは投資家の銘柄に対する期待度です。割安度の指標としてよく理解されます。PERが一定とするならEPSが成長すればするほど株価は上昇していくことになります。
一般的にEPS成長率が高い銘柄は期待度が高くなるのでPERも高くなっていきます。ジェイリバイブはEPS成長率が中程度でなおかつPERが低い中小型株を投資対象としているということですね。
コラム:中型株や小型株とは?
皆さんの中に中型株と小型株とはそもそもどのような銘柄なのか疑問に思われた方も多いと思います。以下が楽天証券の記述です。
東京証券取引所では、東証一部の銘柄を、時価総額の大きさと流動性の高さでランキングし三つのグループに分けています。この上位100位の銘柄までが大型株、400位までの銘柄が中型株、それ以外を小型株といいます。グループ分けは東証が定期的に見直しています。
参照:楽天証券
東証に上場している銘柄のなかで時価総額が100位から400位までの銘柄を中型株、400位以降の銘柄を小型株として分類しています。
ジェイリバイブの構成上位銘柄
上記の基準を踏まえたジェイリバイブの構成上位銘柄は以下となります。(2021年7月末時点)
銘柄 | 業種 | 比率 |
デクセリアルズ | 化学 | 3.9% |
バリューコマース | サービス業 | 3.8% |
SHOEI | その他製品 | 3.7% |
プロトコーポレーション | 情報・通信業 | 3.7% |
ジョイフル本田 | 小売業 | 3.6% |
くら寿司 | 小売業 | 3.4% |
扶桑化学工業 | 化学 | 3.4% |
MCJ | 電気機器 | 3.4% |
システナ | 情報・通信業 | 3.3% |
プレステージ | サービス業 | 3.2% |
「バリューコマース」や「くら寿司」は聞いたことがありますが、他はどのような銘柄か聞いたこともないですね。
では1位のデクセリアルズのデータを見てみましょう。
時価総額(2021年8月13日) | 1,390億円 |
PER | 24.78倍 |
ROE | 11.73% |
営業利益前年比 | 42.46% |
純利益前年比 | 156.9% |
確かにジェイリバイブ が投資先として選ぶ条件を満たしていますね。
比較的高い手数料水準
ジェイリバイブはアクティブ型投信の中でも比較的高い手数料水準となっています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.87% (税込)
ジェイリバイブ2とは?ジェイリバイブとどちらがよい?
ジェイリバイブ には兄弟ファンドとしてジェイリバイブ2があります。正式名称はSBI中小型割安株ファンド(年2回決算型)です。
ジェイリバイブ2はジェイリバイブ と全く同じ運用を行っています。ただ一つ異なるのが分配金を出すかどうかです。
ジェイリバイブは今まで配当金を出していません。しかし、ジェイリバイブ2は年2回分配金を拠出しています。

一見すると、分配金をだしている方が魅力的に見えますが長期運用を考えたら分配金をださないジェイリバイブの方が合理的です。
分配金を拠出した時点で税金が20.315%差し引かれます。その為、再投資する場合に再投資金額が税金によって毀損されてしまうのです。
年率10%で運用し2%の分配金を拠出した場合を仮想ジェイリバイブ2、分配金を出さなかった場合を仮想ジェイリバイブとして10年後のリターンをシミュレーションしたものが以下となります。
仮想ジェイリバイブ | 仮想ジェイリバイブ 2 | ||
基準価格 | 基準価格 | 税後配当金 | |
1年後 | 11000 | 10800 | 160 |
2年後 | 12100 | 11664 | 173 |
3年後 | 13310 | 12597 | 187 |
4年後 | 14641 | 13605 | 202 |
5年後 | 16105 | 14693 | 218 |
6年後 | 17716 | 15869 | 235 |
7年後 | 19487 | 17138 | 254 |
8年後 | 21436 | 18509 | 274 |
9年後 | 23579 | 19990 | 296 |
10年後 | 25937 | 21589 | 320 |
税後利益 | 価格値上益 11950 |
価格値上益 8631 |
配当金合計 2318 |
利益合計 | 11950 | 10949 |
分配金を出さない方が結果的には大きな資産を形成することができるのです。毎月分配金が否定されるのも同じ理由ですね。
→ 投資信託の失敗談の典型!?金融庁も危ないと指摘する毎月分配型投信の罠についてわかりやすく紐解く!
ジェイリバイブの運用実績
ではジェイリバイブ の運用実績についてみていきたいと思います。

アベノミクスが始まってから2018年7月まで高いリターンを出していますが、そこからコロナショックで最大40%の下落を被っています。
現在はちょうど2018年7月の水準に戻ってきているところです。データとしてみると以下となります。
年 | 1年 | 3年 (年率) |
5年 (年率) |
10年 (年率) |
---|---|---|---|---|
トータル リターン |
29.52% | 2.04% | 12.91% | 21.51% |
標準偏差 | 15.85 | 21.84 | 18.68 | 18.15 |
リターンは高いですが価格のブレ幅である標準偏差が大きいので最大損失が大きくなっているのです。
日経平均や「ひふみ投信」と比較
では、「日経平均」や「ひふみ投信」と比較していきます。
以下は過去10年の推移ですがジェイリバイブは「ひふみ投信」すら上回るリターンを出しています。
青:ジェイリバイブ
赤:日経平均
緑:ひふみ投信

しかし、過去3年でみると形式が変わってきます。
青:ジェイリバイブ
赤:日経平均
緑:ひふみ投信

ジェイリバイブは日経平均とひふみ投信に劣後した成績となっています。ひふみ投信は以前お伝えしたとおり、カンブリア宮殿で運用資金が急増したことで従来の運用ができなくなり成績が落ち込みました。
→ 評判を集めるが近年相次ぐ暴落を経験し成績不調に喘いだ「ひふみ投信」を徹底評価!「ひふみプラス」との違いや手数料形態含めて紐解く。
同じくジェイリバイブも以下の通り純資産が急増した瞬間から成績が下落しています。

運用資産が大きくなりすぎると、ファンドマネージャーが行いたい運用を行えなくなるという矛盾を抱えているのです。
まだ、成長過程で魅力的なファンドに投資をした方が高いリターンが見込めるでしょう。
まとめ
今回のポイントを纏めると以下となります。
✔︎ ジェイリバイブは中小型株で成長性がある程度ある割安株を厳選している
✔︎ ジェイリバイブ 2は年2回配当金を拠出している
✔︎ 長期投資をするのであれば通常のジェイリバイブの方が合理的
✔︎ 過去10年では素晴らしい成績ですが過去3年では日経平均を下回る成績となっている
✔︎ ファンドの運用資産が急激に増加すると成績が低迷する傾向にある
以下では、まだファンド規模が100億円程度と最もリターンが出やすい水準で高いリターンを出しているファンドを取り上げていますので参考にしていただければと思います。