5月8日にトランプ大統領がイラン核合意を離脱したとのニュースが入ってきたので、
本日は実態経済にどのような影響があるのか、また私が投資しているイラン株に投資しているフロンティア・キャピタルは大丈夫なのか?
という点を踏まえて書いていきたいと思います。
Contents
今までのイランに対する制裁の歴史
まず、いきなり核合意からの離脱と言われても、そもそも核合意が何か分からない方も多いと思います。
簡単に今までのイランの流れを振り返りますと、米国はイランに1990年代から制裁を科しているという歴史があります。
イランで深刻な人権侵害が行われているとして1996年から他の国に先駆けて独自に制裁を科しておりました。
更に2008年にイランが核開発を行っていることが明らかとなったことを受け、国連として制裁を科すことになったのです。皆さんが認識されている過去の制裁は、この国連の制裁についてだと思います。
この制裁は国連としてのみに関わらず、二国間の間でも制裁を課しており経済的にも深刻な打撃を受けました。
制裁の内容と経済に与えた打撃は、以前イランに対する制裁と解除の経緯で纏めておりますので興味のある方はご覧ください。
こんな苦しい状況の中、イランは海外融和型のロウハニ大統領の就任により経済制裁解除に向けて動き出し、2016年1月にイランの対する核関連の経済制裁解除を実現させます。
そしてタイミング的にオバマ大統領の任期が近づいていたということもあり、彼の外交成果つまりLegacyとしてもってこいの時期でもあったわけです。
何故トランプ大統領は核合意離脱に踏み切ったのか?
まず2016年1月に前オバマ政権が合意に踏み切ったイランとの核合意を何故この段階で合意破棄に踏み切ったのかという点が先程の説明から見えてきたのではないでしょうか。
オバマ大統領のレガシーを否定して自分の正当性を主張し中間選挙に向けて民主党を批判したいということが大きいです。
更に米国の国民感情もあります。この2016年1月の核合意についてなんと賛成している米国民はたったの21%しかいませんでした。(一方反対している国民は49%)
参照:AERAニュース
彼の支持母体の親イスラエル派はイランを毛嫌いしており、彼らからも公約実行の圧力が掛かってきていました。
トランプ大統領は選挙公約でも、即座にイランとの核合意について離脱する構えを見せていましたが、自らが任命した側近の前国務長官(日本でいう外務大臣)のティラーソンとマクマスター大統領補佐官が核合意離脱に反対の姿勢を示していたので身動きが取れなかったのです。
しかし既に両名とも解任をし、漸く公約を実行する機会を得たというわけで、このタイミングになったのです。
実際のところIAEA (国際原子力機関)も認めている通り、イランは核合意を遵守しており、完全に米国政治の道具に使われている感が否めないですね。
イランの実態経済についての影響
では今回の米国の制裁発動の影響はどの程度、イランの実態経済に影を齎すのでしょうか。

参照:外務省
上記の外務省のデータの通り、主な貿易先に米国は入っていません。そもそもイラン核合意がなされ国連の経済制裁が解かれた後も、米国はイランとの商取引を禁止していました。
つまり、米国とイランは20年以上も殆ど取引がない状態が続いており、米国単体の制裁であれば、取引が0から0になるだけなので実体経済への影響は殆どないと言えるのです。
今回のポイントは、漸く取引を以前のように開始しようとしていた日本や欧州各国が米国に追随するかどうかという点です。
重要なのは他の国の動向
先程重要なのは米国以外特に地理的に近い欧州や日本が米国に追随するかという点に注目が集まります。
特に欧州は核合意後、イランとの商取引を倍増させているので重要になってきます。
つい先ほど発刊された毎日新聞の記事が参考になるので、引用させていただきます。
イラン核合意からの米国の離脱表明を受け、欧州連合(EU)の英仏独とイランは15日、ブリュッセルで外相会合を開き、米国抜きでも核合意を履行する方針で改めて一致した。
英独仏とEUは合意署名国の中国やロシアと連携し、米離脱後も核合意を堅持することを目指す。イランのザリフ外相も訪欧に先立ち、中国とロシアを続けて訪問。15日の欧州との会合では、核合意を維持する前提として米国による制裁再開後もイランとの通商関係を保つことの確かな保障を求めた。
欧州は米国抜きでも同じく中国・ロシアと共に核合意を遵守する方針となっているのが伺えます。
ただ、注意しなければいけないのは、トランプ大統領がイランと取引する欧州企業も制裁の対象にする可能性を示唆していることです。
非常に横暴ですね、IAEAが認めている核合意の遵守に、自国の政治利用の為に脱退した上で他国にまで影響を及ぼそうとするなんて。
現在欧州はイランと共同で、米国の制裁開始までの猶予期間90日で米国に少しでも手を緩めるように説得工作をしている状況です。
ただ仮に可能性は低いと管理人は見ていますが、欧州もイランとの取引を諦めざるをえない状況になっても、先述のように現在イランとの取引の大半を占めているのは、欧米以外の国なので大きな打撃にはならないと見ています。
今後の伸びしろを少し失う程度に留まります。
イラン株に投資していたファンドは大丈夫なのか?
では果たして私の投資していたイラン株に投資しているファンドは大丈夫なのか?という質問を読者の方からいただきますが、結論からいうと全然大丈夫寧ろ良好なのです。
ファンドマネージャーが本当に腕利きのため、この事態を想定し、きな臭い雰囲気を察知してイラン債券で保有していたのです。
イラン株が実体経済というよりはセンチメントで下落する一方、安全資産の債権は大幅に上昇し具体的な数値は不明ですが大きな利益を得たとの情報を得ています。
実際にはイランリアルが10%程、円に対して減価しているので円建てで直すと大きく利益は毀損していますが、危機が発生しているにも関わらず円建でもプラスの成績となっています。
まこのように現地に精通しているファンドマネージャーによって債権と株の比率を調整して運用して頂いている柔軟性の高さは非常に評価に値する点だと思います。
流石に私も大幅に元本毀損しているだろうと怯えていたので、ビッグポジティブサプライズでした。
以下新興国投資ランキングの第1位にフロンティア・キャピタルを紹介しておりますので、ご覧ください。

今が更にイラン投資ファンドの投資好機の理由
イランファンドでは債券100%保有していたそうなので、逆にいうとこれから安くなったイラン株を徐々に仕込むことが出来るということを意味します。
因みに何度も紹介しているのですが、元々2018年3月の時点でイラン株のPERは主要銘柄でも4倍~7倍という、異常なほど割安な水準でした。(詳細:イラン株の魅力)
PERについて詳しくはここで解説していますが、簡単に説明すると不動産の利回りと同じで、1000万円の物件の家賃収入が年間100万円であればPERは10倍になります。
つまりPER4倍という水準は1000万円の物件の家賃収入が年間250万円ということと同じ意味です。如何でしょう、破格に割安に思えたのではないでしょう。
更に、実体経済への影響が軽微なトランプの制裁開始のニュースで株式がセンチメントで売り込まれたので10%程下落しました。これから投資するものとしては驚天動地のバーゲンセールというわけです。
寧ろこの形を見てみると、下値抵抗線は確りと支持されていて、マーケットも割安であることを悟っていること米国制裁の影響が少ないことを知っている為か底固そうな形をしていますよね。
ここから、更にファンドマネージャーが厳選した銘柄を徐々に仕込み、場合によっては債券投資で危機を回避していただけるので、この新興国投資に対して私は一段の自信を深めております。