最近はコロナショックでヘルスケア企業の注目度が高まっています。
とはいっても、個別企業についてはあまり詳しくないという方は投資信託に投資をするという選択肢を考えられる人もいらっしゃると思います。
そのような方に向けて世界の期待できるヘルスケア企業に分散投資をしてくれるグローバルヘルスケア&バイオファンドが三菱UFJ国際投信から出されています。
同ファンドは愛称名の健次で親しまれています。
Contents
健次とは?どんな投資信託なの?
健次は世界の主要先進国市場のヘルスケア・バイオ産業の企業に投資をする投資信託です。では具体的にどのような投資信託なのか紐解いていきましょう。
健次はどのような産業に投資している?
先ほどヘルスケア・バイオ産業に投資していると申し上げましたが、具体的には以下の業種に分類されます。
- 製薬:大衆医薬品・医療機関向け医薬品の製造・開発
- バイオテクノロジー:遺伝子解析を元に治療薬を製造・開発
- 医療製品:医療機器の製造・開発
- 医療・健康サービス:病院経営等

健次は財務・収益状況の健全な企業へ長期的な割安度を重視して投資をする方針としています。
健次は世界のヘルスケア企業に分散投資!国別比率とは?
健次は世界のバイオ・ヘルスケア企業に投資をしていますが、国別でみると米国が7割近くを占めます。

銘柄 | 比率 |
アメリカ | 75.7% |
日本 | 6.6% |
イギリス | 6.3% |
スイス | 4.5% |
中国 | 1.2% |
デンマーク | 1.2% |
ベルギー | 1.1% |
オランダ | 1.0% |
ヨルダン | 0.3% |
香港 | 0.3% |
ただ、全世界の株式でも米国の企業の時価総額は60%を占めますので、米国の比率は若干比率は高めということになります。
健次の組み入れ上位銘柄は米国企業がほぼ独占
では2021年7月末時点で具体的な組み入れ銘柄はどうなっているのでしょうか?以下は上位10銘柄ですが、10銘柄合計で43.8%を占めています。米国企業が10銘柄中8銘柄と上位をほぼ独占状態です。ただ、米国はヘルスケア産業のメッカでもありますので当然の結果とみることもできますね。
銘柄 | 比率 | 業種 | 国 |
ユナイテッドヘルス・グループ | 6.7% | ヘルスケア・プライダー | 米国 |
イーライ・リリー | 6.1% | 医薬品 | 米国 |
ファイザー | 5.2% | 医薬品 | 英国 |
アストラゼネカ | 4.9% | 医薬品 | 米国 |
ノバルティス | 4.1% | 医薬品 | スイス |
ブリストル・マイヤーズスクイブ | 4.1% | 医薬品 | 米国 |
ダナハー | 3.5% | ライフサイエンス | 米国 |
ボストン サイエンティフィック |
3.4% | ヘルスケア機器 | 米国 |
エドワードライフサイエンス | 3.3% | ヘルスケア機器 | 米国 |
インテュイティブ | 2.5% | ヘルスケア機器 | 米国 |
因みに以下が前回分析した2020年8月時点の構成上位銘柄ですが、殆ど銘柄の入れ替えが起こっていません。つまり、長期保有をする傾向にあるということですね。
銘柄 | 比率 | 業種 | 国 |
ユナイテッドヘルス・グループ | 7.0% | ヘルスケア・プライダー | 米国 |
イーライ・リリー | 5.3% | 医薬品 | 米国 |
ファイザー | 5.1% | 医薬品 | 英国 |
アストラゼネカ | 4.7% | 医薬品 | 米国 |
ノバルティス | 4.1% | 医薬品 | スイス |
ブリストル・マイヤーズスクイブ | 4.0% | 医薬品 | 米国 |
サーモ・フィッシャー | 3.8% | ライフサイエンス | 米国 |
ボストン サイエンティフィック |
3.5% | ヘルスケア機器 | 米国 |
アボット | 3.4% | ヘルスケア機器 | 米国 |
ダナハー | 3.2% | ヘルスケア機器 | 米国 |
特殊な分配金の方針は大きなデメリット
健次は特殊な分配金方針を掲げており、半年毎に基準価格10,000円を超えている部分については全額分配する方針となっています。
原則として、決算日の基準価額水準が当初元本額10,000円(1万口当たり)を超えている場合には、当該超えて いる部分について、分配対象額の範囲内で、全額分配を行います。(資金動向や市況動向等により変更する場合があります。)
参照:三菱UFJ国際投信
2004年の設定以来の合計分配金は14,980円となります。つまり2004年に100万円を投資していた場合、現在まで150万円の分配金が支払われたことになります。
因みに分配金を再投資した場合の基準価格は40,000円となっています。

あれ、おかしいなと感づかれた方もいると思います。分配をせずに投資をしていれば100万円を投資していれば、400万円になっています。
しかし、分配金を出してしまうことで分配金と合計して250万円にしかならないのです。分配金は出さずに複利で投資をした方が最終的に大きな資産を構築できるということですね。
→ 投資信託の失敗談の典型!?金融庁も危ないと指摘する毎月分配型投信の罠についてわかりやすく紐解く!
では、分配金が出されたら追加購入すればよいのかというと、ことは単純ではありません。上図の赤線は税引き前の配当金を再投資した場合の基準価格です。
しかし、配当金を拠出すると残念ながら約20%の税金が課されます。更に、税引後の配当金を再投資する場合、以下で説明する最大3.3%の購入手数料が発生します。
上記のような成績にはならないのです。正直配当金は出さない方が投資家のために最終的にはメリットなのです、
→ 投資信託は儲からない!?大損しないための投信の選び方を含めてわかりやすく解説する!
高い購入時並びに信託手数料が設定されている
販売する証券会社によりますが、購入時の手数料は最大3.3%(税込)が設定されています。
更に年間の信託手数料は年率2.42%(税込)が設定されており、非常に高い設定となっています。つまり、初年度は5.72%の手数料が発生することになるので取り返すのだけでも大変ですね。
健次の成績と今後の見通しとは?
肝心の健次の成績について見ていきましょう。
一見すると良い成績だが落とし穴がある
先ほど配当金の欄でお伝えした通り、税引前分配金を再投資した場合は運用開始の2004年から4倍に上昇しています。

しかし、税引前分配金ということは100万円投資して5万円の配当金があったとすると、この5万円をそのまま投資することができる前提です。
実際は分配金を拠出した時に税金約20%が自動で発生し、4万円しか手元に入りません。更に購入手数料3.3%を支払った上での再投資となるのです。結果として、上図の赤のような成績にはならないのです。
また、殆どの方は受け取った分配金は再投資せず、生活の足しにするのではないでしょうか。すると、例えば100万円投資した場合、配当金の総額は150万円となります。
しかし、税金を徴収された後の金額は120万円となる換算ですね。絶対値だけでみると優秀ですが、他の平均的な成績を挙げている株価指数と比べて成績はどうなのでしょうか?
米国株のヘルスケアセクターETFに劣後
以下は米国の株式市場全体のETFであるVTIとヘルスケアセクターのETFであるVHTの値動きです。

配当金をださずに運用した場合の健次のリターンは米国株全体と同程度ではありました。
しかし、ヘルスケアセクター全体の動きに比べると、20%ほど劣った成績となってしまっていますね。健次は投資するセクターはよかったのですが、セクターの平均点を取ることはできていないということが分かります。
今後もヘルスケアセクターは魅力的?
では今後、ヘルスケアセクター全体の値動きとしては魅力的なのでしょうか?以下は米国の各セクターETFの値動きです。
VHT:ヘルスケアセクターETF
VGT:情報技術セクターETF
VOO:S&P500指数全体のETF
VFH:金融セクターETF

コロナショックをいち早く回復したヘルスケアセクターですが、今は横ばいを続けています。S&P500指数に追いつかれる勢いですね。
ワクチン開発の不透明性などが影響して、なかなか上値が重い状況となっています。モメンタムは悪く、ワクチンが実現したいまとなってはセルザファクトで今後大きく下落する可能性もあります。
今、ヘルスケアセクターに投資をするのは、割のいい投資とは言えないでしょう。
まとめ
今回の健次について総評をすると以下となります。
- 健次は世界中のヘルスケア企業に分散投資
- 米国企業が全体の7割近くを占める
- 2004年から4倍になっており一見すると優秀
- ↑は税引前配当金を再投資した場合の成績
- 配当金を拠出すると手取りベースだと16年で+120%
- 米国全体の株価指数やヘルスケアセクターの値動きに劣後
- 今後のヘルスケアセクターは不透明性が高い
以下で、市場の暴落にも影響を受けずに安定的な成績を叩き出している筆者も実際に投資しているファンドをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。