前回ブラジル経済が低迷している理由について、市況の下落と政治の混迷によって一時はマイナス圏に沈んでいたことを書きました。
【BRICS】低迷するブラジル経済を分析!資源価格の下落と汚職が蔓延する政治。
今回は低迷しているブラジルの今後の見通しと株式投資の魅力並びに注意点について書いて行きたいと思います。
ブラジルの人口動態
まずやはり基本の人口ピラミッドですね。以下ご覧ください。

東南アジアやインドほど魅力的な形ではないですが、今後暫くは労働人口並びに総人口が増える、つまり需要と供給どちらも伸びていく形をしています。
BRICSの中ではインドの次くらいの水準ですね。
因みに前回書いたのですが、一人当たりGDPが8500USDということで、一旦成長が踊り場を迎えるという中所得国の罠である一人当たりGDPの10,000USDに接近しています。
ここから成長していく為には、労働集約的な産業から先端産業に踏み出さねばならず教育水準というのが非常に重要になってきます。
以下ご覧頂きたいのですが、数学、読解力、科学知識力が非常に低く教育水準はかなり低い状況にあるといえるでしょう。
(参照:ブラジルの学力)
今までは資源産業が成長を索引していたため、ここから先端産業に軸足を移せるかというのは重要な課題となってきます。
ブラジルのGDP成長の寄与度
それでは需要側からみた成長寄与度をご覧ください。

資源価格下落で新規の資源発掘プロジェクトへの投資が打ち止めになり、投資が大幅に減速。
更に政治不安も重なりブラジルレアルの下落を伴って輸入物価が上昇。これによって個人消費も凹むというような状況に苛まれていたんですね。
現状は投資はまだマイナス圏ですが、個人消費の復調を伴った経済成長基調に戻り始めてますね。
私も総合商社で投資をみる立ち場でもあったのですが、やはり為替が安定しないことには中々ブラジルに投資をするという判断が決定されないんですよね。
というのも、為替ヘッジをすると年率10%の金利を支払わないといけないので、なかなか為替ヘッジをするという判断になりません。
投資プロジェクトが20%の利益が見込めるなら考えられますが、なかなかそんな案件はないですからね。
その意味でいうと、ブラジルレアルも底打ちして復調してきたので、今年は大統領選の後不確定要素が無くなった後に投資も蘇ってくるという風に考えています。
個人消費が復調してきているのは、二つの三つの要因からです。
一つ目は雇用の改善です。失業率は直近下落してきており、雇用が全般的に復調し始めている為、賃金収入が大きくなり消費が活発になってきます。
二つ目と三つ目は関連しているのですが、インフレの鎮静化と、それに伴う金融緩和です。
2014年以降インフレが急伸したことにより政策金利を14%まで引き上げましたが、インフレが2%台に落ち着いたことに伴い、金融緩和を行い現在7%台まで下落しています。
インフレが小さくなると、個人としては消費しやすくなりますよね。更に金融緩和によって住宅投資を行う余地が出てきます。結果的に消費が上向いてい来ております。

ブラジルの貿易先
貿易先は以下のようになっています。

輸出製品は大豆10%、鉄鉱石7.2%、原油5.4%、粗糖5.7%という順で、全く製造業に手を出せておらず、原産品の輸出に終始しており、GDPが中所得国の罠に近づいている中で、好ましい状態ではありません。
また貿易先も中国に大きく依存しており、中国の供給過剰が再燃するのは時間の問題ですので不安定な構造といえるでしょう。
- 中国経済は崩壊間近?2020年からの暗い見通しー既に人口ボーナスは終了ー
- 中国経済は崩壊間近?2020年からの暗い見通しー過剰投資・過剰債務・過剰労働力ー
ブラジルの財政と政治
ブラジルの抱える大きな問題である財政と政治は密接に関わりあっています。

資源価格が下落した時から、債務の対GDP比はうなぎ上りとなっており、緊縮財政を敷く必要が出てきているのです。
現在のテメル大統領も歳出の伸びを前年度インフレ以下に抑制は成立していますが、年金の受給年齢引き上げなどの政策は、テメル大統領にも汚職問題が勃発したこともあり遅々として進んでいません。
結果として基礎的財政収支の赤字拡大傾向はずっと続いています。
そんななか、2018年10月の大統領選に非常に注目が集まっています。現在、支持率トップのルラ元大統領は有罪判決が下る可能性があり出馬自体できない可能性があります。
然し仮に出馬可能となった場合、当選する可能性が高く財政規律を緩めることが必至の為、ブラジルレアル低下を伴い再びインフレ加速、投資の抑制という最悪の流れとなる可能性があり注意が必要です。
ブラジル国民としては財政緊縮の現政権より、緊縮しない政権の方が短期的には良いのですが、結果的に暗い未来がまっているのです。
またルラ大統領が誕生しない場合でも、各候補の政策については不透明な点が多く、注意して観察する必要がある。個人的には現政権のメイレレス財務相が大統領となれば安心感が高いが、全く情勢は現時点では不透明である。
ブラジル株式市場
現在のブラジル株のPERは22倍と相応に高くなっていますが、これは資源価格の下落並びに政治の混乱で利益並びに投資抑制により利益が著しく低くなっていることが要因です。
ブラジルの個別株は楽天証券やSBI証券で購入することが出来ます。然し、ADRつまり米国預託証券という制度を使っている為、手数料が往復4%取られます。
更に、聞き覚えのないような企業に投資するのは怖いと思いますので、ブラジル個別株に造詣が深くないのであればETFを購入することをおすすめします。
短期的な反発を取ることは出来ると考えています。
おすすめの新興国市場
ブラジルは政治要因、市況要因で凹んでいた分、短期的なリバウンド益を狙うことは出来ますが、人材の質、現在のGDPレベル、政治的不透明感の高さから長期投資に向いている国だとは残念ながらいうことはできません。
成長力、経済的安定度、株式の割安度という観点で全てにおいて勝っており、今後急騰が期待されるのがイランの株式市場です。
イランは2016年の経済成長率は12.5%と世界首位で、2016年の制裁解除・緩和を受けて今後どんどん海外からの資金が流入していくことが期待されます。
また株式市場は本格的に海外資金が入り始める前ということもあり、主要銘柄ですらPERは4倍~7倍という非常に割安な水準に放置されいてます。
イランの魅力について纏めておりますので、参考にしてみて下さい!
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