BRICS特集の四カ国目ですね!今回からはブラジルの特集をしていきたいと思います。
ブラジルは日本に裏側の国ですが私の幼少期暮らした街にもブラジルからの労働者が大勢きており、小学校の同級生にも数多くブラジル人がいて物理的に遠いけど、心理的に近い国というイメージです。
私が以前勤めていた総合商社でも、ブラジルへの依存度は相当に高く実際経済的な結びつきが強い国の一つであると思います。
総合商社が結びつきが強いということで、分かられたかと思いますが、ブラジルはロシアと同じく資源大国でもあります。
それではブラジルの今後の成長が明るいのかということを分析していきたいと思います!
ブラジルの概要
まずブラジルの概要を纏めていきたいと思います。]
【国名】ブラジル連邦共和国
【人口】2億784万人
【面積】851.2万平方km
【宗教】カトリック約65%、プロテスタント約22%、無宗教8%
【人種】混血の多さから移民の国だということが分かります。
欧州系(約47%)、アフリカ系(約9%)、東洋系(約1%)、混血(約43%)
【GDP】1兆8000億ドル (日本の3分の1くらい。既に大きいですね)
【成長率】▲3.6%
【一人当たりGDP】8,500USD
中所得国の罠である10,000USD目前という感じですね。
【インフレ率】8.5%
【失業率】11.8%
如何でしょう。凄い意外じゃないですか、新興国で経済成長率がマイナスという成績です。
理由は後で紐解いていきたいと思いますが、かなり苦境を迎えていることはお分かりになられたかと思います。
ブラジルの直近までの成長率
現在マイナスに沈んでいる経済成長率ですが、今までの推移を見てみましょう!

2017年は現在推計中で0.75%となっておりプラス回帰となっていますが、直近マイナス圏と成長率がかなり鈍化していますね。
この成長率の鈍化原因について見ていきたいと思います。
成長率鈍化要因①:資源価格の下落
ブラジルは最初に申し上げました通り、資源大国で特に鉄鋼石はオーストラリアに次いで生産量・輸出量共に第二位。
資源会社が多く存在しており、ValeやPetro Brasといえば、皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
そんな鉄鉱石価格も原油よ同じく大幅に価格を落としました。

当然、鉄鉱石価格がどんどんあがっていたものが急落すると以下のような影響があります。
資源会社の業績悪化により賃金の悪化またはリストラが行われる
⇒消費の減少(GDPの最大構成要素である個人消費の減少。実際2016年度は個人消費が4.2%減少しました。)
今まで資源会社に投資していた金額が一気に縮小またはなくなってしまう
⇒投資の減少(GDPの構成要素である投資が減衰します。実際2016年度は消費は10.6%減少しました。)
主な輸出先は中国ですので、中国への輸出の数量と金額が減少
⇒輸出の減少(GDPの構成要素である輸出が減衰します)
と資源国家のブラジルからすると全ての面でGDPにマイナスの影響を及ぼします。
成長率鈍化要因②:政治と汚職
先程も名前をあげたペトロブラス汚職事件というのが、ブラジルの政治経済に多大な影響を与えました。
この事件の概要は2014年のガソリンスタンドで闇市の取引商が逮捕されたことを発端として発覚し、当初は小規模のマネーロンダリングと思われていました。
然し、捜査を進めるにしたがって、国営石油会社のペトロブラスを中心とした汚職問題に発生し、元大統領であるルーラ氏が首謀者であることが発覚したのです。
ルーラ氏はペトロブラスを油田開発者に指定し、収益の3%の歳入をルーラ政権の資金に回っていたことが判明しました。
これによってペトロブラスの投資は大幅に減退、罰則金の支払いもあいまり企業業績は大きく悪化、ブラジル経済に深刻な影を落としました。
更に、当時のルセフ大統領も不正会計が発覚して、弾劾裁判の末罷免され、ブラジルの政治は大きく低迷し、有効な経済政策も打てないという状況が続いていました。
市況価格についで、国内でのごたごたが相まって、失業率は10%を下回るという状況に陥っていたのです。
成長鈍化要因③:引き締め的な金融政策
更に上記の成長鈍化要因二つによってブラジルから資金が流出し、ブラジルレアルが大幅に下落したことによって、深刻なインフレが発生しました。
インフレが発生⇒通貨価値の下落⇒更なるインフレが発生
とインフレスパイラルが発生して、国民の賃金の上昇率を上回り、生活が困窮していきます。
給料が2%しか上がらないのに、インフレが10%発生したら8%実質的には貧しくなりますからね。
この為、中央銀行としては政策金利を引き上げなければなりません。以下ご覧ください。金利が14%を超えています。

実際の貸し出し金利は16%以上になっていたことでしょう。
金利がそれほど高くなれば、個人としはローンを組んで住宅を購入することは非現実的になります。
また金利が高ければ皆さん持っているお金をどうしますか?銀行に預けておくだけで、14%の金利がもらえるのであれば、なるべく使うのを節制して銀行預金しますよね。
そうすると、当然個人の消費活動は減退します。
国内の企業活動としては借入を行って事業を行うことも出来ません。
更に海外の企業としても、為替ヘッジ付でブラジルに投資する場合、為替ヘッジコストが金利分たかくなる為、慎重になることでしょう。
政策金利を引き上げることにより、消費、投資共に落ち込んでしまいます。
今日本が経済を浮揚させる為に金融緩和を行っていますが、その反対のことを行うわけですから経済が冷え込みますよね。
ただブラジル中銀が間違ったことをしたかというと、そういうわけではなくインフレを抑え込む為に必要だったのです。
まとめ
ブラジルは新興国には珍しくマイナス成長となっていますが、その要因としては市況要因、政治要因、金融政策のトリプルパンチを食らったことが要因となっています。
次回はそんなブラジル経済の今後の見通しについて紐解いていきたいと思います。