日本には運用から販売まで一括で行う独立系投資信託が数多く存在しています。ざっと挙げるだけで有名なもので以下のものがあります。
- ひふみ投信
- セゾン投信
- さわかみファンド
- 鎌倉投信
本日は鎌倉投信について詳しくみていきたいと思います。
- どのような独立系の投信なのか?
- 成績は魅力的なのか?
と言う点についてお伝えしていきたいと思います。
Contents
「いい会社」に投信する鎌倉投信とは?
鎌倉投信は「結い2101」という投信を運用しています。「結い2101」はどのような投信なのかを詳しくみていきたいと思います。
投資対象は「いい会社」
「結い2101」は「いい会社」に投資することを運用理念としています。要は社会的な意義まで含めて投資対象を選定しているということですね。
鎌倉投信が考える「いい会社」とは、会社に関わるすべてのもの(ステイクホルダー)との調和を図りながら成長する会社です。自己の利益を過度に重視し、短期的な利益追求に奔走する会社ではありません。社員とその家族、取引先、顧客・消費者、地域社会、自然・環境、株主等を大切にし、持続的で豊かな社会を醸成できる会社に投資します。参照:鎌倉投信
投資している会社については「いい会社リスト」で公表しています。
分配金は過去に1度だけ拠出
配当金は2013年7月に500円拠出して以来、現在2020年8月まで一度も配当金を拠出していません。
配当金は必ずしも出した方が良いと言うわけではありません。配当金をださずに資産自体の長期的な成長を目指すのであれば拠出しないのが合理的な選択肢となるのです。
→ 投資信託の失敗談の典型!?金融庁も危ないと指摘する毎月分配型投信の罠についてわかりやすく紐解く!
信託手数料は年率1.1%(税込)
「結い2101」は投資信託なので手数料が発生します。
「結い2101」は購入時の手数料は発生しませんが、保有しているだけで年率1.1%(税込)で発生します。他の独立系投資信託と同様の水準となっています。
「結い2101」のポートフォリオの特徴
「結い2101」のポートフォリオは特徴的な構造となっています。参考としているのは2021年7月末の運用レポートです。
50%近い高い現金比率
以下は鎌倉投信のキャッシュ比率ですが40%近い高い比率になっています。

今がコロナショック期で特別高いわけではありません。一貫して50%程度をキャッシュとして補完しています。
半分は現金にしているので下落局面では下落幅を抑えることができますが、上昇局面の上昇を獲得することができません。
また、見方によっては半分の資産に対して信託報酬を1.1%払っているので、50%の投資比率では実質的に信託報酬を2.2%支払っていることと同義となります。
現状、相場が不透明なので現金比率を一時的に高くしているのであれば良いのですが、一貫して高い現金比率というのを正当化するのは難しいですね。
小型株への投資比率が高い
「結い2101」の規模別構成比率は以下の通り、小型株比率は70%となります。

小型株は価値があるにも関わらず、株価が安く放置されている銘柄が多く存在しています。明言はしていませんが、バリュー株投資の性格を持っていることが想定されます。
銘柄毎の投資比率は少なく分散がはかられている
投資信託によっては上位銘柄に比率が偏重しているものもあります。
しかし、「結い2101」基本的に銘柄を殆ど同じ比率で保有しています。60銘柄で50%の投資比率なので平均保有比率は0.8%となります。
1位の比率でも1.2%しかないので、偏った比率では持っていないことがわかりますね。

鎌倉投信「結い2101」の運用成績は軟調
投資先を見極める上で一番重要なのは運用成績であることは言を待たないでしょう。
「結い2101」単体のリターン
以下は鎌倉投信の「結い2101」の単体のリターンです。

2018年から3年間殆ど横ばいで推移しています。ただ、2011年以降でみると、アベノミクスの影響もあり株価は上昇基調といえます。
しかし、これは鎌倉投信が素晴らしい成績を出しているというより、市場環境がよかったことが原因だといえます。その点について詳しくみていきたいと思います。
日経平均やTOPIXに成績は劣後
鎌倉投信は市場平均より高い成績を出すことを狙う投資信託です。
日経平均やTOPIXと比較したデータが以下となります。
青:鎌倉投信
赤:日経平均株価
緑:TOPIX

一見すると、日経平均に対しては劣後していますがTOPIXと同等の成績となっています。しかし、気をつけないといけないポイントがあります。
上記の日経平均やTOPIXは配当を拠出した後のデータとなります。配当を拠出すると、年率2%程度リターンがうわぶれることとなります。
つまり、配当を加味すると日経平均とのリターンの差は拡大し、TOPIXにも劣後する成績となるのです。
「ひふみ投信」「セゾン投信」「さわかみ投信」の運用成績(=リターン)と比較
日経平均やTOPIXだけでなく他の平均株価とも比較していきましょう。
青:結い2101(鎌倉投信)
赤:さわかみ投信
緑:ひふみ投信
黄:セゾン投信

ひふみ投信とセゾン投信に比べて、鎌倉投信と「さわかみ投信」は成績が劣後していますね。
上記は過去10年のリターンです。ひふみ投信やセゾン投信が非常によい成績をだしています。ただ、過去3年でみるとまた見えかたが違ってきます。
青:結い2101(鎌倉投信)
赤:さわかみ投信
緑:ひふみ投信
黄:セゾン投信

鎌倉投信の成績が少し改善していますが、セゾン投信やひふみ投信に比べて低い成績となっていますが差は縮小しています。
ただ、全ての投信が殆ど同じような動きをしています。全ての独立系投信が大型株偏重のポートフォリオとなっていますので、日経平均などの市場平均と同じ値動きになってしまうのです。
鎌倉投信を初めとした独立系投信よりおすすめのファンドとは?
先ほどの結果から分かる通り、最初は優秀な成績をおさめていた「ひふみ投信」ですら近年は日経平均と殆ど連動する成績になってしまっています。
最初は魅力的な超小型株に投資して高いリターンを出していました。しかし、人気が集まったことで本来の投資をすることができずに大型株投資になってしまっているのです。
そんな中、筆者はまさに昔のひふみ投信の投資手法に近い超小型株バリュー株投資を行なっているBMキャピタルに投資を行い安定的に資産を増やしています。
BMキャピタルは近年も市場が大きく下落する局面を無傷でのりきり、年率10%程度の高いリターンをだし筆者の資産を安定的にふやしてくれています。

以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
→ コロナでも無傷と評判の和製ヘッジファンド「BMキャピタル(CAPITAL)」とは?形態や運用手法・成績を踏まえて詳しく解説!